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太宰入門は『人間失格』じゃないだろう [小説]

太宰治生誕100周年だそうで、あちこちでキャンペーンを張っているが、
いまだに『人間失格』が薦められているのは何なのだろう。

もちろん人の好みも評価も様々だと思うが、
『人間失格』を本当に面白いとか傑作だと思っている人がどれだけいるのだ。
太宰「らしい」作品ということなのか。
うーん、ほんとに不思議だ。

正直、私は太宰をそんなに読んでるわけではないのだが、
それでも「走れメロス」と並んで、太宰の最も面白くない作品と思える。
特に衝撃もないし。

もっとも、そのつまらなさ/空虚さに、ある種の凄みがある、とは思う。
しかし、初めて読む太宰がアレではちょっと可哀想なのではないか。

じゃあ、何がいいのか。
読みやすく、短く、それでいて太宰の天才的な語り口を堪能できる作品。

それは「駆込み訴え」である。

じゃーん。

一息で描かれた絵のように流麗な語り。
初めて読んだ時、心から「この人、天才だ」と嘆息した。
次元が違うなあ、と。

こういう作品をさらっと書けてしまうその尋常ならざる才能。
(ほんとに「さらっと」かは知らないが、それくらい力みがない)

熱狂的なファンが多い一方で、太宰を嫌悪する人も少なくない(三島とか)。
その嫌悪のうちには、やはりこういう図抜けた才気に対する嫉妬も少なからずあったのではないかなあ…


走れメロス (新潮文庫)

走れメロス (新潮文庫)

  • 作者: 太宰 治
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1967/07
  • メディア: 文庫



新釈 走れメロス 他四篇

新釈 走れメロス 他四篇

  • 作者: 森見 登美彦
  • 出版社/メーカー: 祥伝社
  • 発売日: 2007/03/13
  • メディア: 単行本



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