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憂鬱なハッピーエンド:日日日『ちーちゃんは悠久の向こう』 [小説]

大変な作品である。
18歳のデビュー作らしいが、まあ、何と言うか怪物だ。
そして実に変な小説だ。
書き出しは米澤穂信みたいな感じなんだが…うーん、なんと言ったらいいのか。
読んでいて、自分の理解範囲内のパターンに収めようとしても、気がつくとすり抜けている。
そんな小説だ。そして、怖い。

「ちーちゃん」は裏ハルヒである。
日常に納得できず、その外側を求め、孤立し、暴走し、壊れる。
現実との唯一の接点である語り手(まあ、キョン役か)は、こっちはこっちで自分の現実で手一杯である。

最期に「ちーちゃん」が不屈の闘志で踏み込む地点は、正直いまだに消化できない。
まったく爽快さのないハッピーエンド(いや、私にとっては一応あれはハッピーエンドなのだ)。

思い出すのはひぐらしの「賽殺し編」だ。
悪意に満ちた、あの「ハッピーエンド」。
一応、番外編ということになっているが、作品全体の根幹に関わる、ある意味もっとも重要なエピソードだと思う。
あれがあってこそ、私は「ひぐらしのなく頃に」を心から名作だと言い切れる。

そして、日日日(ちなみに「あきら」と読む)がこれを最初に書かざるを得なかったという事が、私にはとても大きなことに思える。

単なるハッピーエンドでも悲劇でもない「憂鬱なハッピーエンド」

それこそがリアルな出発点なのだろう。


ちなみに、解説の久美沙織がいろいろな意味で上から目線なのが笑える。
勘違いにつける薬はないということか。。。

ちーちゃんは悠久の向こう (新風舎文庫)

ちーちゃんは悠久の向こう (新風舎文庫)

  • 作者: 日日日
  • 出版社/メーカー: 新風舎
  • 発売日: 2005/02
  • メディア: 文庫



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